2014年1月28日午後6時より関内にある計画同人事務所で開催されました。 本研究会幹事を含む7名で議論を深めました。
テーマは用途別容積制(「住居容積制」とも呼びます)の制定と廃止についてです。事前と当日双方で複数のメンバーから論点整理メモが提出されました。
そもそも用途別容積制は公共公益施設の整わないなかでの居住人口流入を防ぐ自治体の知恵であった。容積率の高い商業地域でマンション開発が進み、自治体が意図するまちづくりが混乱するのを防ぐ目的があった。
飛鳥田市長時代の昭和48年に市建築基準条例に盛り込まれ、細郷市長時代の昭和57年に部分緩和され、高秀市長時代の平成3年に廃止された。
当日の議論では、横浜市には住宅施策がなかった。どう住み働くかのまちづくりのビジョンが飛鳥田・田村以降示せていないのでないか、との意見がでた。横浜の経済状況からしあて、関内地区に商業業務を集積することが果たして可能な施策方針なのか、という悲観論もあった。かつ、建築確認申請の98%が民間検査機関で処理され、わずか市が確認するのは年間わずか300件という現実に、建築指導面での無力感も表明された。建設事務次官上がりの高秀市長が廃止の決裁をしたとしても、不動産業界と組む建設省になぜ横浜市の組織は将来の課題を示して諫言できなかったのか、という強い意見もでた。
横浜の課題は特殊解で、日本全国や東京圏での課題とも異なるかもしれない。それゆえ、全体の平均論で押してくる業界や国に対して抗するには、田村明がやったように相手の手の内を知った総合的な戦略をもつしかない。それが出来ていないのかしれない。
論点整理は簡単には終わらず、当時の関係者の意見を聞き進めていくことになった。制定当時の担当係長である内藤惇之氏、かつ廃止当時の市の企画部門のトップ(企画財政局企画調整室長)であった。また、その他関係者にヒヤリングすることも合意された。
なお、市に入庁間もない頃に緩和に遭遇し自主研究会で論文を書き、その後担当部長として平成17年に用途別容積制に代わる「都心機能誘導地区建築条例」を制定した浜野四郎氏に可能ならばお願いして論点整理を進める案も後日提案されている。
文責:田口俊夫