1月24日(火)公開研究会報告

遠藤包嗣氏講演会『港北ニュータウン建設事業の課題と展開』速報

 

 遠藤氏の講演録は近日中に詳細なものが上がってきますが、当日の速報を掲載します。当日の参加は講師を含めて会員10名でした。午後6時から9時近くまで休憩もなく熱をおびた講演と意見交換がされました。参加者の方々、ご苦労様でした。

 さて、遠藤さんの話を聞いて、港北ニュータウン事業が極めて壮大で複雑で困難な事業であったことが分かりました。この事業は環境開発センターにいた田村明さんの六大事業の提案に端を発しているが、昭和42年に飛鳥田市長が地元に入りニュータウン構想を打ち上げた。乱開発の防止、都市農業の確立、市民参加のまちづくりをキーワードに、対象区域2,530ヘクタールという気の遠くなる規模であった。これが日本住宅公団施行による土地区画整理事業として行われ、対象事業面積1,317ヘクタール、計画人口22万人のまちづくりが昭和43年から始まった。すでに周辺地域は東急電鉄による大規模開発や虫食い的な小規模開発が進行しており、まだ山林や谷戸で構成されたニュータウン地域も安泰ではなかった。この広大な地域に入り、土地区画整理事業用に土地を先行買収する公団担当者の苦労や、事業期間が長くなり将来の生活設計が描けない地元住民の不安、そしてこれだけの大規模なまちづくりの全体調整を担当する市の職員たちの頑張りなどが遠藤さんの講演で明かされた。恐らく、日本でこれだけの規模での土地区画整理事業によるニュータウンづくりの事例はなく、英国のニュータウンも郊外の農地を買収し一括開発したもので、日本の複雑なまちづくりは世界的にみても稀有な事例だろう。筆者も現在、港北ニュータウン内にある私立学校に勤務しているが、毎日快適に通勤している。良いマチになっている、と感じている。遠藤さん、有難うございました。なお、田村さんのニュータウンづくりにおける役割は遠藤さんの講演録で詳述されます。ご期待下さい。(文責:田口俊夫)