米国アトランタ国際会議への出席報告 A report of participation in global conference held in Atlanta, USA

This is a report written by Mr. Toshio Taguchi, vice-president of our NPO, that attended the international conference entitled “Comparative Urbanism: Global Perspectives” held by the Urban Studies Institute of Georgia State University during two days of March 7th and 8th in Atlanta, Georgia State. Taguchi’s role at this conference was to address a joint dissertation regarding “Capture Land Value for Building Infrastructure: comparing China and Japan” with Mr. Nannan Xu, Chinese post-graduate student of British Columbia University, Canada. During the sub-session, Professor John Marshall, chairperson of it, made a kind comment about Taguchi’s paper focusing its early successful examples of town planning such as the user-pay scheme applied as a method of capturing land value increase along the subway construction of Midosuji, Osaka, and our progressive land control measure of Local Development Exaction system formulated by Akira Tamura. Comparing the cases of the United States, Japan had moved far ahead in terms of planning control practices, he commented. Since Taguchi heard this, he has become convinced that our activities of researching the work of Tamura would have a meaning not only to Japan but also to the global community, thank you.

 

田口です。先週の3月7日と8日の二日間で、当NPOを代表して、アトランタのジョージア州立大学法学部付属都市研究所Urban Studies Institute主催の国際会議に参加してきました。会議の後に、私的にニューヨークに滞在し、この都市の形成過程の勉強をしています。

 

さて、この国際会議では、昨年の国際都市計画史学会IPHS横浜大会で知り合った中国人研究者(Mr. Nannan Xu, カナダのBritish Columbia University博士課程在学中、北京出身で30歳)と一緒に、論文発表“Capture Land Value for Building Infrastructure: Comparing China and Japan”「都市インフラ建設における土地上昇価値の公的還元:日中比較」をしてきました。私の担当部分で、核となるのはIPHSで発表した宅地開発要綱で、その前段として日本の土地制度と都市インフラ整備の主体と状況(特に学校建設)について大幅に加筆しました。

 

国際会議のテーマは、「Comparative Urbanism: Global Perspectives 都市化の世界比較」です。3月7日と8日の二日間で分科会が18もあり、その間に三つの基調講演がありました。参加者は世界中から来ていて200名ぐらいでした。特に、東アジア三か国(中国・日本・韓国、実は台湾もあるのですが、形式上は参加国でないが参加はしている)の都市化比較が注目されたのですが、残念ながら中国人研究者が多数で、日本と韓国はそれぞれ二人だけでした。英語が流暢な中国人研究者の多数は米国やカナダの大学にいるか、その出身者です。中国人研究者でバンクーバー市と台湾の新台北市における容積誘導の事例が面白かったです。ちなみに、韓国の研究者は英国ロンドン大学博士課程でした。英語が「完璧」にできない私は極度の緊張感と共に意思疎通に苦労しました。食事が喉を通りにくい日々でした。当然、お酒は飲みませんでした。

 

我々の分科会の参加者は少なかったのですが、チェアー(司会者)を務めたジョージア州立大学の教授が田口論文(例の宅地開発要綱論文に戦前からの制度研究を加えたものですが)をえらく評価してくれて、日本は戦前の大阪市御堂筋地下鉄での受益者負担制度を含め、戦後の宅地開発要綱による開発指導などは米国の制度(Development Agreement, Impact Feeといって、権限のない地方自治体が開発負担を求め、事後的に州政府が州法を制定し擁護した)よりはるかに早い、と感心してくれました。

 

このコメントだけで、行った価値はあったと思います。NPOパンフも配ったのですが、分科会の講師だけでした。とても、多様な分野から来ている他の参加者に配り歩き会話する気力と力はありませんでした。分野的には地理学の研究者が主体のようにみえました。そのため、共同研究者の中国人研究者が、英語が難しすぎて分からない、と言っていました。どうしても、概念的な英語になるようです。

 

一方、当該中国人研究者(Mr. Xu)と話し込んだことにより、都市計画史を都市計画家の視点から研究する意義を共有できました。中国ではそのような人物がいないようです。あえて言えば、1950年代のソ連と対峙した中国人都市計画家がいたようですが、実務家ではなかったようです。彼も「田村明研究」の意義と、その成果を未来のつなげることに共感してくれました。

 

後日、Xuさんからメールが届きました。中国と日本の「公と私」の違いについての参考文献を教えてくれました。溝口雄三著の『中国の公と私』研文選書1995年で、市立中央図書館にありましたので借りて早急に読み込みこもうと思っています。Xuさん曰く、我々の共同研究を天国の田村さんも喜んでくれるのではないでしょうか、と泣かせる言葉があります。今後、彼と本格的に、都市インフラと都市環境を整備維持する上での公の役割、中央政府と自治体の役割の議論を進めていきます。Xuさんは将来的に中国に帰国して、大学教授になることが目標のようです。頑張ってほしいと思います。彼は実に温かい人物で、かつ彼の論文批評は的を射ていました。

 

そして、分科会の司会役を務めてくれたジョージア州立大学のジョン・マーシャル教授にお礼メールを出しました。文面も何度も推敲しましたが、海外のため英語のチェックを受けることができないので、自前の英語のままです。英語が不自由なため当日は大変に緊張し、かつ発表時間も限られていたため、十分な説明ができなかったことをお詫びしております。その上で、当該教授が事前に私の論文を読み、脚注までにも目を通してくれたことに感謝しております。都市計画家田村明を今後も世界に発信していきたいので、類似の会議があれば是非教えてほしい、と述べました。

 

今後の改善点として、飛行機代はもはやネットでとっても料金上の差はないのですが、ホテル代は一番注意を要する点です。つまり、海外では治安上の問題を第一優先に考える必要があり、私も大学に紹介されるホテルをとる前に仮予約したホテルを現地でみると、いかがなものかな・・・というものでした。また、国際会議には日程的に余裕をもって臨まないと、発表準備を直前まですることと、精神的な疲れがおおきく、注意を要すると考えます。

 

なお、田村明研究を世界に発信することの意義は相当にある、と今回感じました。今後も、頑張っていきたいと思います。思いつくままに書きました。

The case study of Japan in the Comparative Study of China and Japan about Capturing Land Value
当該国際会議に提出された田口論文
The case of Japan, Capture land value.pd
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