2022年11月12日(土)と13日(日)にかけて大阪府の追手門学院大学で開催された第95回日本社会学会大会に参加してまいりました。実に3年ぶりの対面での学会報告の場ということもあり、日本全国から数多くの社会学者が集っており、また旧知の方々にもたくさん会うことができました。私が参加したのは「地域社会・地域問題」部会であり、「住宅は地域社会の共同性構築の場になり得るのか––––革新市政期横浜市から考える」というテーマで報告を行いました。内容としては、高度経済成長期における日本の住宅政策の特徴を概観しつつ、飛鳥田市政における「住宅」をめぐる議論の特徴を明らかにしようとするものでした。戦後日本の住宅政策の基調にあったのは、まず住宅の供給量の拡充でしたが、飛鳥田市政では早い段階から「質」の充実と社会保障としての住宅を実現することが目指されていました。しかし超過負担をはじめとする財政的制約のなかで、住宅問題を「宅地」の問題と捉えつつ、宅地開発要綱の運用等を行うようになります。田村明は「宅地開発は最終的にはコミュニティ開発でなければならない」と表現しましたが、のちの宅地整備の専門分化が進むなかで部局横断的に「コミュニティ開発」を行うという視点は十分に顧みられなくなっていきます。報告のあとの質疑応答を通じても、そもそも田村のいう「コミュニティ開発」がどのようなものであったのか、そしてどのようなものでありうるのか、という点が議論となりました。その明確な答えはすぐには出ないものの、昨今の住宅セーフティネットの構築に関する議論などと関連して、今後とも重要な論点であることは間違いありません。最近進めている企画調整についての研究も、こうした現代的な論点と過去の政策・実践とを往還しながらさらに進めていきたいと考えております。